2008年7月8日火曜日

生物のスピード、自然のスピード

 午前6時頃、急な雷雨の音で目が覚めました。ぽつんぽつんの一粒一粒が大粒で、ベランダに置いてある物に当たる音で目が覚めたわけです。目が覚めてから直ぐに、もの凄い土砂降りになり、雷も鳴っていました。最初のぽつんぽつんからバケツをひっくり返したような激しい雨までの時間は、寝ぼけていますから正確ではありませんが、30秒かそこらではないかと思います。あっという間に土砂降りで、地表面は雨が溢れています。
 そのとき、私は寝ぼけた頭で考えたのが、「ダンゴムシたちは、無事逃げることが出来ただろうか?」と言うことです。土の中にもぐって眠るダンゴムシたちにとって、あの雨は、おぼれる危険のある大雨・大洪水クラスの雨ではないのか。地表にいたダンゴムシが、あの移動速度で雨水のないところに避難することが出来たのか、または、土にもぐっていたダンゴムシは、おぼれることなく生き延びることが出来るのか、ダンゴムシの専門家にすると何でもないことだと思うのですが、気になりました。ダンゴムシを飼うようになって、以前には気にしなかったことが気になってわけです。
 ここ数年夏の夕立が激しく降る傾向があるように思います。もしそうなら夕立などが以前の日本の風土の降り方と違ってきたなら生態系に影響が出るのではないかということです。夕立の降り方が激しく降るようになったのではないかという実感は、気象予報士の平井信行氏が、日本海学シンポジウム2006で行った講演の講演録の中でも、短い時間に強く降る雨の回数が増えていることが、指摘されていますので、私の実感は気象データによっても確かなことのようです。こうした変化を地球温暖化の影響ではないかと唱える論者もいるようです。地球温暖化との関連が疑われる異常気象が頻発し始めています。
 鷲谷いづみ先生 (東京大学)の『自然再生』(中公新書、2004年)のなかで、異常気象による生物絶滅の例として、コスタリカのモンテベルデ雲霧林の保護地区で起きたオレンジヒキガエル をはじめとする20種類ほどのカエルの一斉絶滅が紹介されています。オレンジヒキガエルの事例は、科学雑誌『ネイチャー 』に掲載された有名な事例で、その後、「消えるカエル(両生類の減少)」の謎に世界中の両生類学者が取り組む切っ掛けになったそうです。

参考資料
両生類の減少
FrogWeb

地球温暖化による気候変動、異常気象は、穀物生産高、穀物価格への影響だけにとどまらず、人間の生活に様々な影響を及ぼしますが、そうした人間の生活に影響を与えるだけでなく、異常気象から身を守る術のない生物種にとっては危機的な状況をうむということを私に教えてくれたのが、先に挙げた鷲谷先生の『自然再生』です。

そんな鷲谷先生の本のことを思い出しながら、寝ぼけた頭で考えていたのは、今朝のような激しい雨の降り方が温暖化の影響だとすれば、温暖化により自然のスピードが変わり(スピードが速くなり)、そういった自然界の環境変化が急速に起きる一方で、生き物のスピードは変われなければ、こうした雨の降り方の変化などは、ダンゴムシのような地を這う生物種にとっても少なからず影響があるのではないだろうかというものです。私の推理は、昆虫や甲殻類の世界からすると杞憂なのかも知れませんが、激しい雨音を聞きながら、私たちが考える「スピード」というものには、色々あるなと思いました。ダンゴムシは、そうした生き物のスピードを久しぶりに気づかせてくれました。

1 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

こんにちは。
サンフランシスコ在住です。今年、8月に東京に帰省した際に、「夕立」に降られ、不思議に思いました。それで、日本の近年の夕立についてグーグルしていて、このブログにあたりました。ここ、西海岸にいるより、東京のほうが、気象の急激な変化を感じます。